生産緑地の指定を受けるにあたって、次に掲げる条件に該当する一団のものの区域については生産緑地地区として定める事ができます。
市街地区域内の農地等であること
公害等の防止に役立つなど農林漁業と調和した都市環境の保全等の効用を有していること
公園や緑地などの公共施設等の敷地として適していること
面積が500m2以上の良好に耕作されている農地
用水路等の営農継続可能条件を備えていること
生産緑地に指定されると、固定資産税・都市計画税は農地課税となることによって減額され、相続税・贈与税の納税猶予を受けることができます。
生産緑地に指定されることによって宅地造成や建物等の建築などには、市町村の許可が必要になり、農業を営むために必要なもので生活環境の悪化をもたらすおそれがないと認めるもの以外の設置は許可されない事になっています。また、指定の日から30 年間を経過したとき、または農業の主たる従事者が死亡したとき、病気などの理由で農業に従事できなくなった時( 医師の診断書が必要) でないと市町村に対する時価での買取り申出ができなくなります。
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生産緑地制度は、大きく分けると次の2 つの目的のために創設された制度です。
市街化が進んだために緑地が急速に減少してきたので、良好な生活環境の確保のために、農地の計画的な保全を図るため。
市街化区域を今後計画的に整備していくために、将来の公共施設等の用地としての農地の保全を図るため。つまり、生産緑地に指定することによりその農地に関しては、建築制限などを受けるため自由のきかない土地になるわけです。したがって、生産緑地に指定するかどうかしっかり検討することが必要です。
生産緑地の公示価格と坪数を入力すると、各評価額を算出します。
※あくまでも参考金額です。
生産緑地でないものとして評価した金額に、下記の割合を乗じた金額によって評価する。
課税時期から買取りの申出をすることができることとなる日までの期間 | 割合 |
5年以下のもの | 90% |
5年を超え 10年以下のもの | 85% |
10年を超え 15年以下のもの | 80% |
15年を超え 20年以下のもの | 75% |
20年を超え 25年以下のもの | 70% |
25年を超え 30年以下のもの | 65% |
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1992年4月施行の生産緑地法改正時に指定を受けた農地が、改正から30年が経過する2022年に、農業委員会に土地の買い取りを申し出ることが可能になります。その対象は、三大都市圈で約1万3,000ヘクタールある生産緑地のうち、約8割に及びます。市町村が買い取らない場合は生産緑地指定が解除される仕組みですが、今までは、財政難の為に市町村が買い取るケースは殆どなく、一斉に買い取りの申出が行われた場合、大量の生産緑地の指定が解除されて宅地化か進む可能性があるといわれています。いわゆる「生産緑地2022年問題」と言われていますが、解除された場合、どんなことが起こるのでしょうか。
生産緑地を解除された土地の大量供給による地価の下落
生産緑地を解除された土地に対する固定資産税の減額措置の撤廃と相続税・贈与税の農地の納税猶予の特例の撤廃による地主層への税負担の増加
生産緑地を解除された土地の宅地化による防災面等での環境の変化等が考えられます。
現状、都市における農地の役割は農産物を生産する役割のみならず、災害時の避難地としての役割や、保水機能、住民が身近に自然に親しめる有効な空間としての様々な役割も担う面もあるため、急激な変化への対策として2017 年2 月に「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。この法案には、「生産緑地の買取り申出が可能となる始期の延期(30 年経過後は10 年ごとに延長可)」など、生産緑地制度を延長・拡充するための施策が講じられる予定です。生産緑地指定を受けている地主さんは、今後の所有あるいは活用のあり方を検討するタイミングです。生産緑地指定を継続するか、解除申請を行って不動産活用を図るか。事業方針や人生設計、節税対策など様々な観点から、所有不動産の棚卸しを行ってみましょう。
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